都会の中の孤島 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「都会の中の孤島」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 アナタハンの女王事件というのはこれは戦後すぐにたいへん話題になった事件で、現代でも映画になったりしている、戦後日本を代表する怪事件で、wikipediaにもその詳細が載っています。今回はこの問題を坂口安吾が論じつつ、戦後都市で起きる事件を記しはじめます。
 多くの人間が集まって、王女をめぐって独自のルールが造成されて諍いが起きて怪事件に発展するというのは、現代の都心でもふつうに起きるんだよ、という恐ろしいことを宣言しつつ「ミヤ子」と「グズ弁」と「右平」の3人の物語が展開します。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記   孤島化というかガラパゴス化した人間関係というのはどうしておきるのか、自分にとって不都合なことはまったく見ないようにしていると、こういう事件が起きやすい、という安吾の警句が印象に残りました。ミヤ子は男の素性というのをまったく調べずに、男のお金にだけ目をつけているのでした。そのために羽振りだけが良い、怪しい男とだけ関係を深めるようになってゆき、歪な三角関係が展開します……。
 以下、ネタバレ注意なので、近日中に読み終える予定の方はご注意ください。グズ弁がスパナで武装するようにミヤ子からそそのかされて、その通りにスパナを握りしめて暮らすようになったところ、近くでスパナを使った殺人事件が起きてしまう。とうぜんいつもスパナで武装していたグズ弁が殺人犯の濡れ衣をきせられてしまった。グズ弁はいくら無罪を主張しても誰もそれを信じなかったのでした。犯人はミヤ子のヒモ男が金欲しさに殺人事件を行ったのでしたが、じっさいにはミヤ子が殺人をするようにそそのかし、さらに無罪男のグズ弁が逮捕されたという、おそろしい事件の真相が語られるのでした。