二つの手紙 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「二つの手紙」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 芥川龍之介の古典小説なんですけれども、みょうに現代的な怪異譚を書いているんです。序盤に、物語に深い関わりをもつ作中作が記されます。本文こうです。
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  ベッカアはある夜五六人の友人と、神学上の議論をして、引用書が必要になったものでございますから、それをとりに独りで自分の書斎へ参りました。すると、彼以外の彼自身が、いつも彼のかける椅子いすに腰をかけて、何か本を読んでいるではございませんか。ベッカアは驚きながら、その人物の肩ごしに、読んでいる本を一瞥いちべつ致しました。本はバイブルで、その人物の右手の指は「なんじの…………
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 ドッペルゲンガーが現れて不吉なことを告げてゆきます。本文と関係が無いんですが、そういえば二十数年前に、ふだん行ったことの無い町で、自分とまったく同じ服と帽子をかぶったドッペルゲンガー風の男が居たのをみて驚いたことがあるのを思いだしました。
 紙の本やコピー機は、原本からの静的な複製で、静止した複製物は文化において必需品だと思うんです。あらゆる本や新聞や映像が、公式に複製されて配布され販売されています。そこに恐怖心は生じないと思うんですが、動く複製物というのは、これはおそろしい、と思いました。原形と異なる動きさえする複製物……。結末まで知っている物語作品よりも、自分自身の仕事とか交流のほうが面白い理由は、それは動的だからだと、思うんです。動的なコピー品というのはヤバイ、とか思いました。
 

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