今日は、岡本綺堂の「梟娘の話」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
江戸時代に水戸の藩主が、貧困層のための病院である「施薬院」をつくって、病の治療をすることになった。みな喜んで、その診察を受けたのですが……あるお金持ちの美しい娘が、日光を浴びると苦しむ病に困っていたところ、この施薬院で病状を診ることになった。ところが夜は病院が閉じているので、どうしても日光にあたることになってしまう。お役人は仕事を完遂するために、この日光に苦しむ「梟娘」をどうしても施薬院で看る必要があった。
「目を閉じていれば昼でも移動できるのではないか」ということで、目隠しをして医院を訪れることになった。
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ネタバレ注意なので、近日中に読み終える予定の方はご注意ください。生まれてはじめて日光のなかを歩く少女、というのが町中の噂になって、見物人が溢れかえって、少女を驚かせてしまった。
病院にたどりつく前に、娘は家に帰りたいと言いだしてしまった。見物人や関係者は彼女を止めようと、掴みかかってしまうのですが、彼女は上手くすり抜けてしまった。けれども目隠しをしてのはじめての行動なので、お城の堀の中へと飛びこんでしまって、行方不明となってしまった。水練の者が外堀の水の底をさぐってもなにも出てこなかった。
この事件のあとに、暴風雨があって「外堀から黒雲をまき起して、金色の鱗をかゞやかしながら天上に昇つた怪物のあることを、多数の人が目撃した。」どうも龍が昇天したか「かの梟娘が蛇体に変じた」のでは、と町中で囁かれたのでした。