トカトントン 太宰治

 今日は、太宰治の「トカトントン」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦後に太宰は小説で、このように記しています。

  何か物事に感激し、奮い立とうとすると、どこからとも無く、幽かに、トカトントンとあの金槌の音が聞えて来て、とたんに私はきょろりとなり、眼前の風景がまるでもう一変してしまって、映写がふっと中絶してあとにはただ純白のスクリンだけが残り、それをまじまじと眺めているような…………
 
 戦争の危機が去ったあとに無気力にさいなまれていた主人公に対する、親戚の発言に、こういうのがあるんです。「お前は頭が悪いくせに、むずかしい本を読むからそうなる。俺やお前のように、頭の悪い男は、むずかしい事を考えないようにするのがいいのだ」
 中盤で絵画や音楽の話しが挿入されるんですけれども、それがじつにみごとで……。それから泉鏡花の「歌行燈」のことも記していました。こんど読んでみようと思います。
 それから政治に関する複雑な描写があるのですが、太宰治の経歴をwikipediaで読んでいると、15年戦争のはじまるころに、左翼運動をしてこれに挫折している。野間宏が描いた大長編の『青年の環』に登場する、特高に狙われた左翼青年のような人生があったようだ、というのを知りました。
 

縦書き文庫の装画

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