二人の男と荷車曳き 夢野久作

 今日は、夢野久作の「二人の男と荷車曳き」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 夢野久作といえばとにかく無茶苦茶なことをどこまでも書ききるという作家だと思っていたんです。こんかいの短編では、ほとんど異変らしい異変は起きない、すぐに終わる掌編なのですが、氏の「ドグラマグラ」や「少女地獄」がなぜ書かれたのか、その謎の解明になりそうな二つの事柄が記されているように思いました。力自慢の男二人が決闘をするときに、なぜかはじめに銃撃戦になって、能力がまったく互角であるために、弾丸がどれも中空でぶつかり合ってしまって無効化されるという、近代小説にしては珍しいメタ的な展開があるというのと、中盤後半でトリックスターの役割として出てくる「荷車曳き」が、力自慢の二人を操って——彼が自分の意図をさいごに明かします。「ててお出でになる無駄な力を拾っただけです」という……これがじつは「ドグラマグラ」の執筆を可能とした、動機の一部でもあったのではと、いうように空想しました。
 

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