今日は、芥川龍之介の「仙人」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
芥川龍之介と言えば、短編小説の妙手だと思うんですが、今回はそれよりも3倍は短い、ほとんど1ページくらいしかない、超短編というか掌編小説になっていました。読んでみると、まさに芥川の名作とならぶような、文学作品のように思いました。芥川作品にしてはかなり短い小説です。
琵琶湖のちかくで裁判官をしている「仙人」は、趣味で瓢箪をたくさん集めていて、家には山ほど瓢箪があるのでした。仙人はある日、転勤となって、琵琶湖沿いの別の場所に引越をすることになった。200個ほどの瓢箪をどうやっても運ぶことが出来ない。しかたがないので、全ての瓢箪をくくりあわせて琵琶湖の上に浮かべて、小さな舟にしてみた。それから……。終盤のところで、氏の死生観が立ち現れる作品に思いました。
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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
追記 あまたの瓢箪を集めた「仙人」が、さいごには遺品の瓢箪をいろんなところに持ってゆかれたけれども、なにかこう、「仙人」の意識とか行為とか関係性が、没後に薄まりつつ、低く流れていって広まってゆくような気配を漂わせる、奇妙な光景が描きだされていました。