今日は、石川啄木の「新しい歌の味ひ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
はじめに記される「哀果」というのは文学者の土岐善麿の筆名だそうです。
ぼくは詩がまったく書けない人間なので、詩人の書いた随筆や小説がどうも特別なものに思えて好きで、一般的な小説の構文とちがう方法が存在するとそれが宝珠のように思えてくるんです。
この掌編は、いっけん啄木の私生活を描いたように記されているのですが、主語が妙で、「男」だったり「彼」というように記されていてどうも啄木ではないかのように描かれます。
主題もすこし妙で「新しい歌の味ひ」と書いておきながら、歌のことについてはとくになにも述べていないんです。内容としては「北歐羅巴の大國の新しい物語の本」を一晩でいっき読みしてその長編小説の魅力について記しています。
題名は「新しい歌の味ひ」です。その味わいについては記されていないんです。歌についても記されていないんです。上手いこと対象物がすり抜けているといえば良いのか、観察対象の透明化が成されています。不思議な作品に思いました。
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追記
石川啄木の、wikipediaのページがとほうもなく長大で、日本人は啄木が好きなんだなあと思いました。