今日は、トオマス・マンの「なぐり合い」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは「戦争後まもない頃で、力だの勇気だの、なんでも荒くれた美徳が、おれたち少年の間では非常にもてはやされ」ていた時代の、西洋の少年たちの悪漢小説です。「ヤッペとド・エスコバアルとがなぐり合いをする」ことになり、これを見物しに行く「おれ」が、この少年たちの対決をまのあたりにします。
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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
ネタバレ注意なので、近日中に読み終える予定の方は、先に本文を読むことをお勧めします。「クナアク先生」というのが中盤で登場して20数回も記載されるのですが、この唯一の大人が決闘の見届け人となっていて、少年の犯罪を防ぐ目的もあるようで、あるていど拳闘のルールが決まるのでした。ただ競技とはまったくちがっていて、暴力や犯罪に密接しているところがあるのでした。この「おれ」と「先生」というのが、作家の立ち位置や考えに近いのでは、と思いながら読みました。
闘いが終わったあとの、荒んだ集団の異様な熱気をまのあたりにし、ジョニイと「おれ」がそこから去ってゆく、この前後の場面が、印象的な物語でした。