倫敦消息 夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「倫敦消息」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 イギリス留学中に漱石はなんだかおかしくなった、という奇妙な噂があったらしいんですが、そのころにじっさいの漱石はどういうことを考えていたのか、ロンドンでの出来事を漱石が記しています。
 まずはイースターのことや旅行のこと、朝食の焼パンやベーコンのことなどが記されています。
 漱石は英語や英文学を学びながら、2つの拠点がある状態でこう考えます。
 日本人のほとんどが「日本に満足して己らが一般の国民を堕落の淵に誘いつつあるかを知らざるほど近視眼であるか」ということを論じています。
 「吾輩」の日記のような記載が続いてから、トルストイが宗務院シノードから破門されたことについて書いていました。これは当時は世界的に報道された問題で、ネットではこの記事で詳細に記されていました。
 イギリスで下宿先の引越をせねばならなくなった事態や、英語の専門家である漱石が、ネイティブからいろいろ得意げに教えられてちょっと辟易とした話の箇所がなんだかユーモラスでした。
 この本は実話に近いものだと思うんですけど、ぼくとしては「吾輩は猫である」の中盤部分よりもずいぶん興味深い物語であると思いました。
 最後にどうしてこのロンドン日記を書いたのか、正岡子規のために書いた、という一文は、自分としては漱石文学全体を読むにあたって重要な記載であると思いました。
 

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