今日は、原民喜の「原爆回想」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは原爆の直撃を受けて、辛くも生き残った原民喜の随筆です。まだ平和に暮らしていたころの父や妻のやっていたことを、生き生きと描くところに、家族への思いがにじむように思いました。当日の被爆地でなにをどう調理して食べることが出来たのかを記していて、当時の営みが描かれていました。本文こうです。
私たちはその日の夕刻頃には、みんなもう精魂つきて、へとへとになっていた。私はオートミイルの缶をあけて、それを妹に焚かせて、みんなに一杯ずつ配らせた。すると次兄は、「ああ、こんなにおいしいものが世の中にあるのか」と長嘆息した。このミルクと砂糖の混っているオートミイルの缶は、用意のいい亡妻がずっと以前に買って非常用にとっておいた秘蔵の品である。この宝が衰えきった六人の人間を一とき慰めてくれたのである。
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