死んだ魂 エマ・ゴオルドマン

 今日は、エマ・ゴオルドマンの「死んだ魂」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは……リトアニア生まれのアメリカ人であるエマ・ゴールドマンが記した実話物語です。
 ウクライナとロシアを4ヶ月間も旅し、子どもの餓えと託児所の実情を観察してきた「私」が、飢える母子を描きだしたのがこの作品です。
 ニコライゴーゴリの描いた「権力者と詐欺師たち」という登場人物に着想を得てエマゴールドマンが描いた、寄宿舎の問題を記したもので、本作では、存在しない人間たちのことを「死んだ魂」と呼び、このリストによって賄賂の総量をふやして、多くのお金や食料を奪っている人々が居る、という状況が記されています。
 一九二二年のロシアの学校にいる子どもたちは飢えて困っている。なぜ困っているかというと、これを搾取している構造があるからで、共産主義の闇が記されてゆきます。
 階級制度がひどい世界では、現場での悪事が隠蔽されてしまって世間に広く伝えられることが無く、弱い立場の人たちだけが苦を受けつづけてしまう。不正の告発があっても「大げさなことを言うな」とか「作り話を信じるな」とか言われてしまう。これは、作家の伊藤野枝が翻訳し、大飢饉が起きる10年前のことを記した本なんですが、歴史的な事態を読み解いた短編だと、思いました。
 アナーキストのエマゴールドマンは「死んだ魂」の周辺で起きている悪徳に抗う力を求め、ここに警句を記しているのでした。
 

0000 - 死んだ魂 エマ・ゴオルドマン

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
ニコライ・ゴーゴリの「死せる魂」の要約版を作ってみました。本文からゴーゴリの名作を全文読むことも出来ます。
  

0000 - 死んだ魂 エマ・ゴオルドマン