今日は、堀辰雄の「絵はがき」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
堀辰雄の諸作は、なんだか洗練されていて美しい文体なんだと思います。
僕がホテルのベッドに横になつて、讀書をしてゐたら、窓から、向日葵の奴がしきりにそれをのぞきこむのだ。(略)
空には、一めんに、壜の破片が散らばつてゐる。そいつがきらきら光つてゐる。どうも、頭の上へ落つこちて來さう……
百年前の日本に、ゲーテかハリーポッターかアンデルセンのような幻想的な一場面が描かれる小説があったのか、と思えてくる文体なのでした。こういう本をあと1000冊は読んでみたい、と思う小品でした。
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追記
僕の籐のステッキがまづ魔法の杖といふところ。これで觸つたら、小鳥だらうが、花だらうが、木の枝だらうが、みんなお喋舌りをしはじめさうである。僕はそつとステッキを小脇にかくす。
さいごステッキを手にしている「僕」は、ふっと空に舞いあがり、小説そのものも「僕」と同時にかき消えてしまう、不思議な掌編作品でした。


