今日は、坂口安吾の「魔の退屈」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
坂口安吾は戦争中に、いったいどうやって働いていたかというと、映画会社で脚本を書く仕事をしていたのだそうです。そういえば映画会社は当時、軍部からも国家からも重要視されていたので、そのために坂口安吾は戦地の最前線に送られて皆餓死する、という最大の危険性から、回避できていたようです。
作中に書いているのですが「思想犯で警察のブタバコ暮しを余儀なくされて出てきたばかりであつた」人々は安吾の周りにあまたに居たのでした。
安吾は黄河を撮る映画の脚本を担当していたのですけど、それはもう敗戦寸前だったため、あきらかに実現不可能な仕事だった。本文こうです。
黄河とは如何なる怪物的な性格をもつた独特な大河であるかといふ、歴史的地理的な文化映画の脚本……(略)
敗戦寸前の状況で中国の映画を作るというのは「全然無意味で、敗戦と共に永遠に流れて消える水の泡にすぎない」と書いているのですが、その無意味だった時間に、黄河の歴史の勉強をしたことには価値があった。時代が変化した時に、その後も役に立つことと、役に立たなくなることとが、ある……と思いました。
装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)