今日は、堀辰雄の「鳥料理」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
カフカの作品を現代の詩人がリライトしたら、堀辰雄の文体になるのでは、と思うような、不可思議な詩小説でした。
詩小説というジャンルは調べてみても存在しないものなのですが、堀辰雄は、詩の文体と小説の文体を数ページごとに交互に重ね合わせて書くことが幾度かあるのでした。堀辰雄は自分のみた夢がピカソの色彩に似ていると指摘しつつ、この夢を詩に書き記すのでした。本文こうです。
私がそれを見て温室かしらと思つたのはそのガラス越に
見知らない熱帶植物のやうな鉢植がいくつも置かれてあるのを見たからだ
しかしそれは普通の温室ではないらしい
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私は臆病な探偵のやうにこはごはその中に忍び込む
私がガラス戸を押し開けるや否や、ぷんと好い匂がする
それがさつき象のさせてゐた好い匂とそつくりだ
「あの少女がこの壜に這入っている?」という一文が印象深い、洒脱な小説でした。
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