今日は、グリムの「おくさま狐の御婚礼」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
九尾のキツネというと中国の伝説だと思うんですが、こんかいこの西洋のグリム童話に登場するんです。
九尾の古狐は、死んだふりをしてみて「おくさま狐」がどうするのかを、ためしてみることにしたんですが、これが本格的すぎて、ほんとにながらく死んだ状態になるんです。
すぐにいろんな再婚あいてが現れるんですが、やっぱり九尾のキツネともういちど結婚をしたい、おくさま狐なのでした。
そのあと……「いちばんおしまいに来たのだけは、ふるとのさまのお狐とそっくり、九尾の狐でした。」これにはさすがに喜んで、おくさま狐はさっそく結婚の準備をするんですが……童話にネタバレがあるかどうか分からないんですが、今から読む予定のかたは、先に本文を読むことをお勧めします。
結婚の支度がととのったとたんに、九尾の古狐は生き返って「一ぴきのこらず、ぴしぴしひっぱた」いて、おしおきをするのでした。
これで話しが終わりなのかと思ったら、第二話があって、こんどはほんとに「おきつねのふるとのさまがおかくれ」になって、つまり九尾の古狐がなくなって、おくさま狐は泣いている。いろんな新郎候補がやって来るんですが、どうも運命の人だとは思えない。そこでなぜか、「おくさま狐」は「赤いズボン」を履いていて「とんがったお口をして」いたら良いのだと思い込むんです。じっさいにそういう姿をした「わかい狐」がやってきて…………どうなるのかというと、そのまんまお互いに満足してハッピーエンドに至るのでした。えっ? 最後だけはなんのトリックもどんでん返しもない、ふつうに現実っぽく進展するのか、というのが意外でした。
再読してみると、古狐はどうも、ちゃんと未来のことを考えていて、賢いんです。大問題の予行演習をしてから、こんどは本番が始まるという、展開なのでした。西洋では、グリムの本を読んで育った子どもたちが、昔はいっぱい居たんだろうなあ、と思う童話でした。
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