二人の弟たちへのたより 宮本百合子

 今日は、宮本百合子の「二人の弟たちへのたより」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは戦争に召集されてしまって今どうしているのか分からない二人の弟に対して、書いた手紙です。
 宮本百合子の夫は、十五年戦争を否定し批判し続けた宮本顕治氏です。作中にも記載されている弟さんは戦争に召集されて広島に滞在中に、原爆で亡くなられています。
 この宮本百合子の手紙は1940年初頭に書かれたものです。特高からの妨害を避けるために、故郷の今を伝えるだけに留めているところがあるように、思います。
「泥濘のなかを」という文章が印象に残りました。戦中には、反戦者として投獄をされていた宮本顕治氏の故郷である山口県光市の「島田川」の空き地で「兎を相当どっさり飼っている」ひとたちがいる、という描写が、なんだか日本の不思議な光景だなと思いました。検閲があって自由に書くことが出来ないので、なんでもないことを書いて送るしかなかった、というのがうかがえる手紙の内容なのですが、とにかく生きて故郷を見てほしいという思いの籠もった作品に思いました。
 

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