今日は、永井荷風の「元八まん」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
東京都江東区は東陽の十間川あたり、現代で言う東京都現代美術館の南のほうの川、このあたりから東京メトロ東西線と同じ方向に荒川への道のりを散歩していて、偶然にも鎌倉の元八幡宮の分社を見つけた、永井荷風の風景画でした。
荒川に着く前の、葦が水溜まりに生い茂るところに荒れはてた元八幡宮を見つけ、荷風もたびたび訪れた娼館に関わりのありそうな人物とすれ違ってゆく。電車がやって来る場面が印象的でした。本文こうです。
電車の窓に映るものは電柱につけた電燈ばかりなので、車から降りると、町の燈火のあかるさと蓄音機のさわがしさは驚くばかりである。ふと見れば、枯蘆の中の小家から現れた女は、やはり早足にわたくしの先へ立って歩きながら、傍目も触れず大門の方へ曲って行った。狐でもなく女給でもなく、公休日にでも外出した娼妓であったらしい。
荒廃した元八まんは、ほんの1年後には建て替えられて新しい姿になっていた……。
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