大恩は語らず 太宰治

 今日は、太宰治の「大恩は語らず」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 編集者のNさんが太宰治の家にやってきて「恩讐記といふテエマで數枚」書いて欲しいというのでした。本文こうです。

  手紙でお願ひしたら、あなたは、きつとお斷りになるだらうと思ひましたから、ですから、私がけふお宅へお願ひにあがつたのです。恩は、ともかく、あだなんて、あまり氣持のよいものでは無いのですから、テエマにあまり拘泥せず、子供の頃、誰かに毆られて、くやしかつたとか、そんな事でもお書きになつて下さつたら、いいのです。
 
 手紙だけだとどうしても伝わらないことを、わざわざ対面で話しに来た、というのが良いなあと思いました。軍部主導による国策によって、発禁と廃刊が相次ぐ昭和十五年の出来事でした。「大恩は語らず」と言うのですが、そこは他作で、太宰治が書きそうなところのような気もしました。
 

縦書き文庫の装画

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
 
追記 「忠臣藏だつて、考へてみると、へんなものですよ」というあたりで、ほんとにそうだなと、思いました。