今日は、寺田寅彦の「子猫」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
家に入り込んできた野良猫を、飼うことにした……といえば漱石が有名ですが、寺田寅彦も同じように、勝手に入ってきた野良猫を飼っていたんだそうです。
三毛は神経が鋭敏であるだけにどこか気むずかしくてそしてわがままでぜいたくである。そしてすべての挙動にどことなく典雅のふうがある。
という観察がなんだか妙に印象に残りました。
猫が狩ってきたネズミについて「人間のわれわれが糸で縛って交番へ届ける事もあった」という奇妙な記載はこれはもう現代ではあり得ないことだなと思いました。1950年代ころまでじつは、ネズミを狩って交番に届けると、衛生を改善したということで十円くらいもらえたのでした。
もう一匹の「玉」はがさつな性格で食い意地がすごくて、なんだか汚い犬みたいな性格だったんだそうです。「三毛」が子猫を産むところもリアルに描きだされていました。現代の動画サイトでは見えてこない、猫の生きぬくところを詳細に寺田寅彦が描きだしているように思いました。猫好きが読んだらもう、これは圧倒的な名作なのでは……と、思いました。
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追記 壺に落ちてたいへんなことになったという実話は、これは漱石も小説で描いたことだなと思いました。子猫を失った三毛が、よそから来た子猫を育てている描写がすてきでした。三毛はけっきょく立派な母猫になったのでした。
「おさる」という変な名前をつけられた猫が最後までなんだかあわれな感じで印象に残りました。


