山遊び 木下利玄

 今日は、木下利玄の「山遊び」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 古典や近代文学の魅力は、現代作品よりも自然界の描写が色濃いというのと、一茶や芭蕉のように、徒歩の旅の描写が秀逸であるというのが、あるんだと思います。
 100年前の旅と言えば徒歩が中心だったのでは、というように思う随筆でした。
 木下利玄は武家の子孫の歌人で、当時としてはそれほど早世では無いのですが、中年期に肺結核で亡くなっていて、健脚でも頑丈でもないはずなのですが、山遊びで岡山の足守から山のほうへと散策するところを描きだしています。家族や友人たち「十六人」もの人数で「妙見山へ茸狩に行く」ところを描いています。
 読んでいるだけで、山を散策したような気分になる、すてきな随筆でした。
 小雨にうたれながらも、竹の籠にキノコをいくつも入れてゆくさまが描かれます。山小屋で和食と松茸料理を楽しんだ。人間を豊かにするものが自然界以外は存在しないというような時代で、自然界へのまなざしがちょっと現代人とまったく違うのだ、という感じがする、のんびりとしたエッセーでした。緑豊かで四季のある日本、というのの内奥が見えてくる明治四十四年の随筆でした。
  

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