今日は、吉川英治の「押入れ随筆」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは戦後ずいぶん経ったころの随筆で、和服の時代から洋服の時代にすっかり入れ替わったころの世相を描きだした作品でした。
宮本武蔵を書いた吉川英治がどういうことを日々考えているのか、ちょっと見えてくるのが興味深く思いました。
吉川英治氏は、持ちものをもって歩くのがどうしても嫌なんだそうです。「良人がトランクや買物の荷をかかえ、夫人は手ぶら」といったレディーファーストの感覚の、逆側にいる自分というのを省察している随筆がありました。西洋化された世界とぶつかりあって居所を見失う20世紀中盤の日本の感性が、いくつか記されてありました。
そういえば和服を着て、いろんな荷物を持ち歩いている富裕者、というのはまったく想像が出来ないなと、と思いました。
味噌汁と梅の味についての記載もあり、和食の魅力を感じる随筆でした。
装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約5秒)
以下の記載がなんだか印象に残りました。
私は十八、九の頃、ドックの工員だったことがある。郵船の客船や、外国船の中へも、よく仕事に行った。それで思い出すのだが、貨物船はべつとして、船の中ほど、清潔な住居はない。サロンといわずルームといわず、じつにきれいなものである。


