今日は、豊島与志雄の「猫性」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
「自由に戸外をもかけ廻る野性的な」「純白か漆黒かの尾の長い猫」ならもう、何匹でも飼いたい、という記載からはじまる豊島与志雄の随筆です。漱石は学校教師を長らくやって新聞社との契約があってお金持ちだったと思うんですが、豊島与志雄も豊かな暮らしをしていたのかなあと、思いながら読みました。豊島の飼い猫のように、百年前の猫も、人間の家族として豊かで素敵な暮らしをしていた例があったようです。
自由な性格を愛で、猫には「肉食獣の野性の夢がある」と記しています。この猫の自由さから学ぼうと考えて、猫の性格を考察しています。猫は権力に従わない、文学的な芸術性というのがある、と豊島与志雄は指摘します。本文こうです。
猫の持つ野性の夢は、柔軟温順な外観から離れた、内心的なものである。その内心的なものに対する驚異と恐怖とから、猫に関する怪談が生れる。猫に関する怪談は、道徳美の埒外に、あるものが多く、たとい報恩とか復讐とかいうことから発したものにあってさえ、たちまち独自の発展をなして、精神的な怪異力を発揮する。
猫の抱く夢想について論じていました。ポーの「黒猫」や、漱石の第一作を連想させる随筆でした。
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追記 数日間ほど離席していて、ついさっき帰着しました。