今日は、中谷宇吉郎の「球皮事件」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
バルーン型飛行船というかガス袋を使った飛行船が、まだ実用されていた時代に、この飛行船の事故を受けて、どうやってこの安全性を考えるかという議論を、寺田寅彦と中谷宇吉郎とY君が、論じているものです。約百年の時を経て、結論としては、飛行船は無人化するしかなかったわけなんです。この技術を廃止するという方針がまだ大勢ではない時代に、中谷がこの問題を論じているのでした。
ちょっと調べてみると、燃料の水素がどうしても災害に弱いし、濡れた外皮が雷に弱すぎる。wikiを調べた範囲では、飛行船の外皮が雨に濡れて、これに雷などの電流が流れると発火して飛行船が爆発してしまうそうです。発火後に、燃料や水素も爆発して被害を大きくしてしまうようなのでした。
学者の中谷の考察としては、水素の流出があって、漏洩した水素が電流に触れて爆発したのでは、という考察でした。ちょっとした天災を受けると、水素と火花が混じりやすく、そこで事故に繋がってしまうようなのでした。事故原因の実証のために、模型で試験をしてみる科学者たちの研究を記した、一九三八年(昭和十三年)一月の随筆でした。中谷宇吉郎はどうして乗組員が犠牲となった本件を、「事故」と書かずに「事件」と記したのだろうかとか、研究に対する「軽蔑」とはどういう意味で書いたのだろうかとか、気になるところがいくつかあって、寺田寅彦と中谷宇吉郎の生きたこのころのことをもう少し調べたくなる随筆でした。
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