石を積む 別所梅之助

 今日は、別所梅之助の「石を積む」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 お地蔵さんのすぐ側や、山道の大石のうえなどに、丸い石を積んでゆくという民間の、ちょっとした習俗のことを書いた随筆です。日本人が神をまつる、というのにどういう心情があるのかを読み解いたものです。賽の河原の地獄の描写もちょっとだけありました。東京でも「地蔵様の足許に小石を積む」ことがあるし、山道の綺麗な大石の上には、だれかが人知れず小石を積んでゆくのでした。これは現代でもそういうことがあると思います。
 別所梅之助氏は、大正時代の改訳聖書の編纂に深く関わった国文学者です。作中に書かれている「創世記二八の一八」というのは「ヤコブの旅の夜」の場面のことです。

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『ヤコブの旅。孤独な夜の出来事。』
 父の教えに従い、一人で遠い親戚の元へ向かったヤコブ。旅の途中で日が暮れ、彼は道端の「石」を枕にして眠りにつきました。孤独と不安の中での野宿でした。
 すると夢に、天まで続く階段と天使たちが現れます。神様は彼にこう告げました。「私はあなたと共にあり、どこへ行ってもあなたを守る。そして、必ずまたこの場所へ連れ帰ろう」と。
 朝、目を覚ましたヤコブは、誰もいないと思っていた場所に神様の温かな存在を感じて感動しました。彼は枕にしていた石を「特別な目印」として立て、そこをベテル(神の家)と名付けました。
 ヤコブは心に誓いました。「もし神様が私を守り、無事に家へ帰らせてくださるなら、私は生涯あなたを信じます。そして、この石を立てた場所を、神様を身近に感じる大切な場所として守り続けます」と。(このヤコブの旅の要約はAIがまとめ、人間が修正したものです)

  

縦書き文庫の装画

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追記  作中で引用されていた荘子の「丘山は曳くきを積みて高きを為す」というのは、wikisourceに原文がありました。
これは荘子の「則陽」で語られたものです。こういうのです。
「馬のあたま、あし、しっぽ、からだなど百の部分をバラバラに一つずつ指し示しても、そこには『馬』全体はいない。しかし、それらの百の部分をすべて備えた生き物が目の前にいれば、私たちはそれを『馬』と呼ぶ。これと同じように、山は低い石や土を積み上げていくからこそ高い山になり、川はたくさんの小さな水を集めるからこそ大きな川になる。そして、すぐれた大人も、多くの人の意見や力を合わせるからこそ、公平で広い心を持てるのだ。四季はそれぞれ違った気配をもつが、天は特別に何かを与えるわけではないから、一年が成り立つ。役割はそれぞれ違うが、君主は私情を持たないから、国は治まる」