化け物の進化 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「化け物の進化」を公開します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 科学者が、妖怪についてどのように考えているかを、書いているのですけど、おもしろい随筆でした。
 白川静の漢字に関する随筆を読んだときの印象と、似たことを書いていて、学者はこういうように発想して考えを展開するんだ、と思いました。
 暗号的な符合が存在していて、それをとっぴょうしもないような仮説としてまずは位置づけて、そこから検証をしてゆく。検証の結果、謬説だとわかったらそれを斥ける。雷神というような存在と、科学的に有力な仮説とは、そのなり立ちに共通点があるようなんです。あと、この記述が印象に残りました。
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  不幸にして科学が進歩するとともに科学というものの真価が誤解され、買いかぶられた結果として、化け物に対する世人の興味が不正当に希薄になったquomark end - 化け物の進化 寺田寅彦
 
 寺田寅彦は、物理学のみならず「潮汐の副振動の観測」など自然界を観察することも仕事の1つだったわけで、そういう人は神秘を排除しないとでも言えばいいのか、自然科学者って面白い考え方をもつもんだなあ、と思いました。
 寺田は「化け物は実際に当時のわれわれの世界にのびのびと生活していたのである。中学時代になってもまだわれわれと化け物との交渉は続いていた」と書いていて、まるで水木しげるみたいな幼少時代を過ごしていたようです。妖怪好きにはたまらない随筆でした。寺田寅彦はこういうことを書くんです。
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  神鳴りの正体を鬼だと思った先祖を笑う科学者が、百年後の科学者に同じように笑われないとだれが保証しうるであろう。quomark end - 化け物の進化 寺田寅彦
 
 寺田寅彦が、鎌鼬の正体を追った記述が興味深かったです。ニールス・ボーアのこともちょっと論じていました。

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