細雪(56)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その56を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 本文には3人の姉妹の性格が、こう記されています。
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 妙子がはたの迷惑や人の思わくも構わないで、自分の好きなように振舞うのに反して、全然能動的に動く力を欠いているような雪子の、あれ以来東京の空でびしく暮しているであろう様子が、しきりに幸子の念頭に浮かんだ。quomark end - 細雪(56)谷崎潤一郎
 
 幸子は世間体を異様に重んじていて、妙子の醜聞が雪子のお見合いに及んでしまうのを警戒しているのでした。
「おさく師匠の追善の舞の会」というのが「昭和十四年(1939年)二月」に執り行われることになり、ひさしぶりに、東京の雪子と再会をするつもりなのでした。
 戦争が激化してゆく時代なので、舞の会も自由に行いがたくなってきて「こう云う催しも時局への遠慮から追い追い困難になる」と記されていました。
 こいさん(妙子)が追善の舞をするので、新しい衣装を用意している幸子なのでした。
 物語の本筋には関わってこないのかもしれませんがおさく師匠の高弟である「さく以年いね」という人もちょっと書かれていました。ずっと東京に居た雪子が、ひさしぶりに関西に帰ってきます。舞の訓練のために、美しい着物を着ている妙子のところへ、長旅を終えて雪子が入ってくる場面がありました。
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 あれからざっと半年間会わなかった雪子の様子を見上げたが、内気なようで花やかなことの好きなこの妹が、汽車で疲れたらしい青い顔をして這入って来て、この光景に出遇であった今、急に眼元をほころばしたquomark end - 細雪(56)谷崎潤一郎 
 
 追善の供養の舞であっても控えめな集会になっていて「時節柄、余りぱっとせんように、云う趣意かも知れんな」ということが記されています。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)