自己を中心に 三木清

 今日は、三木清の「自己を中心に」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 自己中心的というのはたいてい悪い意味で使われていて「近しい人や他人を排除している」ということを意味するかと思うのですが、漱石の「自己本位」や三木清が述べている「自己を中心に」というのは、他者に貢献するには、自己がしっかりしていないとどうにもならない、という意味のようです。本文こうです。
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 自分を中心にして仕事をしてゆくこと、それがけっきょく社会のために尽くすことになるのだと考える。自分というものを抽象して社会はないはずである。quomark end - 自己を中心に 三木清
 
 また「自分自身に還って仕事をするということである。まず主体を確立する」というように記していました。哲学者の三木清であっても、本は依頼されないとなかなか書けない、ということも記しています。三木清は質だけではなく量も重視していて、ゲーテの全集に匹敵するくらいの分量を書きたいという思いがあるようです。
「自分の能力を小出しにしない」で「自分の才能を浪費しないようにすることが大切である」それから、三木清の思想としては「民間アカデミズム」というものこそ重要なんだと、指摘しているんです。
日本の「文化史を見れば、民間アカデミズムは、たとえば徳川時代の儒者の間にも国学者の間にも存在したもので、それがかえってその時代の真のアカデミズムであった」と書きます。国家が主導しないものごとこそが、日本の文化にとって重要なことだという指摘でした。1939年という戦争の時代に書かれた随筆です。
  

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