苦悩の年鑑 太宰治

 今日は、太宰治の「苦悩の年鑑」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 「時代は少しも変らないと思う。一種の、あほらしい感じである。」という文章から始まる、太宰治の小説を読んでみました。太宰治が敗戦後しばらく経ったのち、世相について論じながら、世間に対する思いを記してゆく小説でした。太宰治の数奇な文学人生の謎がすこし解けるような記載がありました。「曾祖父は養子であった。祖父も養子であった。父も養子であった。女が勢いのある家系であった。」これはいっけん事実っぽい記載なんですが、一部だけ事実で、他は小説の中での仮想の設定です。どうも父と子というところに繋がりを感じがたい太宰治の苦悩が描きだされているのでは、と思いました。
 

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追記  聖書とキリストについて深い考察を描きだすのが太宰治の諸作の特徴だと思います。苦悩を減じるという仏教的な思考が太宰治にはほとんど見うけられないのがなんだか危ういのではと思わせる、1946年の小説でした。