今日は、島崎藤村の「路傍の雑草」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
近代作品の魅力のひとつに、自然界との関わりが現代人よりも色濃いので、自然界への描写や敬愛が格別だというのがあると思います。
今回は真冬の厳しさと、春の気配への待望を記した、詩人の随筆で、食料も台所も川もなにもかも、すべて氷におおわれてしまい、料理のさなかでさえ、氷のために皮膚が裂けて出血する場面を描きだします。藤村は厳冬の「沈静な趣」について記すのでした。この文章が印象に残りました。
石垣の間などに春待顔な雑草を見つけることは、私の楽しみに成つて来た。長い間の冬籠りだ。せめて路傍の草に親しむ。
(略)
斯ういふ中で元気の好いのは屋根の上を飛ぶ雀と雪の中をあさり歩く犬とのみだ。
藤村は雪の中からやっと顔をあらわした雑草の名前をいくつもあげていって、その植物の特徴と魅力を記すのでした。
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