述懐 岸田國士

 今日は、岸田國士の「述懐」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 作中で、岸田國士がフランスに数年ほど暮らしていたころにとつぜん喀血した時のことを書いていました。文人が独立して生きることが困難だった時代に、戦後に至るまで長生きした岸田國士の養生論でした。百年前に西洋で日本の単身者が健康の維持をするなんてそうとう無理のあることだったのではと思いました。漱石も子規も啄木も短命で、随筆を読んでいると洋行をするのも療養をするのも難しい世界だったのだと思います。百年前の技術で移動をして寝泊まりをして、健康を増進し、言葉もあまり通じないはずだし、潤沢な資産があるわけでも無く、ヨーロッパまで一人で行くなんて、宇宙旅行をするくらい困難なのではと思いました。
 岸田國士は盛んに創作することこそ重大だと考えていたとは思うのですが、とにかく病を斥けるために批判的にものごとを見て、自らの生活の改善を試みているというのが、随筆を読んでいるだけでも見えてくるように、思いました。すてきな養生論でした。
  

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