今日は、芥川龍之介の「わが散文詩」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これは不思議な短編集で、六つの独立した掌編が並んでいます。筋のまったく無い、風景画か風刺画のようなごく短い作品なんです。「椎の木」という作品で芭蕉の文学性を論じています。季語を含む俳句の様式を借りて、この散文詩を書いたように思いました。
芥川龍之介の文学論として、谷崎宛てのするどい文学批評に「話の筋というものが芸術的なものかどうか、非常に疑問だ」「筋の面白さが作品そのものの芸術的価値を強めるということはない」ということを述べているんです。句集や歌集には筋が無いわけで、筋の無い文学というのはそれはありえる、と思います。ただ芥川龍之介の著名な作品は、筋も重大になっているようにも思います。芥川が尊敬する夏目漱石の作品は、たしかに真ん中の章からいきなり読みはじめても、じゅうぶん読み応えがあるんです。いっぽうで谷崎作品は順々に読むとドラマが盛りあがってゆく。ただのストーリーものでは映画にならない、という話しをしていた映画監督のことを連想しました。
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