今日は、陀田勘助の「全体の一人」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
これはごく短い詩で、氏が獄中から書き送った作品です。ほんの百年前は言論の自由さえ無いほど厳しい時代だったということが見えてくる、ひとつの詩に思いました。彼は当時禁じられていた共産主義の東京地方委員長だったため投獄されたのですが、氏は芸術のダダイスムを愛する詩人そのものだったように思いました。秩序や常識を打ち壊すトリスタン・ツァラのダダ宣言に連なる芸術へと分け入った陀田勘助の後期の詩でした。ツァラはこういう詩的な宣言を、記しています。
ダダは何も意味しない。
ルーマニア語では「はいはい」という肯定の重複語。DADA。
博学な記者たちはこれを「赤ちゃん向けの芸術」と見なし、他の聖人たちは「現代の幼子たち」と呼び、乾いた原始主義へ回帰し、騒々しく単調である。
あらゆる絵画や造形作品は無用のものである。秩序が無秩序となっていて、私は私ではなく、肯定は否定である世界。これらが絶対的な芸術の至高の輝きである。
ただ政治と芸術をこころざしただけであるのに獄死した陀田勘助にとってトリスタン・ツァラのダダ宣言は、生きる歓びをかたちづくった要の存在だったのでは、と思いました。
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