細雪(100)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その100を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 細雪は次回で完結です。
 かつてはお隣どうしということで蒔岡家と交流のあったドイツのシュトルツ夫人からの手紙が届いたのでした。一九四一年の冬のことが記された、手紙なのでした。
 大きな出来事が起きる、以前と以後を断絶させずに繋げられるのか、という物語だったように思いました。

※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

「絹と日本の扇子の小包が届かなかった」というシュトルツ夫人からの手紙の一文のあと、ピアノやヴァイオリンを学ぶ幼子たちや、カルタやチェスで遊ぶ家族のことが記されていました。敗戦に至ったのちに、これらの美しいものは、いったいどうなったのか、それは分からないままこの大長編は幕を閉じるのでした。やがて敗戦の日に至るはずの「ヒットラーユーゲントの少年たち」のことも一瞬、記されてありました。
作中に「ローゼマリーは近いうちにエツコサンにお手紙を書きます。この子は普通の日は学校の宿題がどっさりありますので、お手紙を書くのにもいつも日曜の来るまで待たなくてはなりません。」このローゼマリーからの手紙もどうなったのか、読者の自分にはどうしても分からないのでした。平和な時には波乱の物語を記して、戦争が激化していたころには雅な生と、静かな生活のことだけを書いた、という谷崎潤一郎の長編文学でした。

 

縦書き文庫の装画

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦子エツコさん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)