細雪(45)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その45を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ちょうど1年前の津波のことを振り返って、当時は妙子が遭難してしまって、写真家の板倉が彼女を救うために活躍した、ということを家族で話し合うところから、今回の物語ははじまります。
 ところがこのすぐ後に、運悪く台風が関東を襲って、ふたたび災害に見舞われてしまいます。作者の谷崎潤一郎は、大震災の後に関西へ移り住んでいます。氏が「倚松庵」に住む数年前に起きた室戸台風のことは、人づてに聞いていて、今回の、似た場所にあるのに被害の規模が異なるという、台風被害の描写となったのだろう、と思いました。
 安普請の家では台風のおそろしさがまったくちがう、という記載がありました。本作執筆の前後に現代語訳された、谷崎版の源氏物語でも、婚姻と家移りと嵐のことが記されているので、この古典の影響も色濃いのかと思います。
  

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)