細雪(49)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その49を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 前回、東京の様子を見てきた幸子の家族は……、今回から関西に戻ってきてまた静かな暮らしを再開するのでした。
 関西と東京を比べてみて、百年前の東京はとかく「ほこりっぽい、白ッちゃけた」都心であって、これは当時の映像をみると納得のゆく記載に思いました。百年前は土の道に、有り得ないような密度の人々が歩いていて、馬車も自動車もせわしなく、埃が舞い続けているような場所なんです。
 幸子と妙子は、フランス語を学ぶことにしようかと、家庭教師のマダム塚本にこれを習うことにするのでした。
 このまえ幸子が受け取った、妙子の交際にかんする不吉な手紙のことも、続きが記されていました。
 妙子の作った人形を鑑賞しながら、幸子は、妙子の男女交際について聞いてみるのでした。
 妙子は、板倉と奥畑啓坊とで、どちらときちんと交際をするのか、ということを心配されています。板倉は災害時に妙子を助けたので、妙子は彼のことを恩人だと考えています。ただ板倉は生活が不安定なので、蒔岡4姉妹の妙子とは結婚ができそうに無い状態なんです。恋愛や交際の相手となると奥畑啓坊が相応しいんです。ところが「啓ちゃんは不倫をしているので、妙子も不倫をしているように勘違いしている」ということを妙子は言うのでした。
 交際となるとやはり妙子は「啓ちゃん」と進めてゆくのでは、という印象でした。ただ妙子はそのことよりも、一人で一年間ほど洋行をして、もっと人形作りとデザインをしっかり学びたいということをもっとも希望しているのでした。ただ、フランスにも大きな戦争の気配が迫っているので、洋行も難儀するかもしれない、ということが語られました。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)