今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その52を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
この「細雪」は、雪子と妙子の2人がどう結婚をするのか、これが物語の中心になっています。今回は妙子のヨーロッパ留学について、四姉妹がこの問題を検討して、手紙や会話で、いろいろ案じているところなのでした。今回もこの大長編の要点がまとめて書かれているような章ですので、細雪のためし読みをするにはうってつけの回に思います。
雪子は奥ゆかしくい性格なんですが、末っ子の妙子は恋愛や遊びや仕事や創作や人づきあいに熱心な性格をしています。今から数年後には戦争が激化する時代なので、残念ながらフランス留学はいったん取り止めるしかなくなったわけなんですが。海外に留学してでも、妙子は自分の力でなんとか自立して、夫の収入に頼らずに、自由に人形づくりや洋裁をして、独り立ちをしたいという願望があるのでした。また姉の幸子からしても、悪い虫がついて恥の多い異性交遊にはまってしまうよりも、妙子には立派な仕事人になってもらうことを希望しているのでした。この物語は三姉妹の物語だと思い込んでしまうくらい、長女の鶴子の存在感が無いわけなんですが、その理由としては、長女の鶴子はすでに人生の進路がはっきりしていて揺るぎがたいので、小説内ではほとんど登場せずに、遠いところで妹たちを見守っているという状況なのでした。妙子の将来の仕事のことについてそれぞれ考えを述べている場面がいろいろあって、姉妹のそれぞれの性格が見えてくる章でした。
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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)