細雪(53)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その53を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 妙子の未来を世界でもっとも案じているのは、姉の幸子なんです。けれどもずいぶん妙子のことを、疑うんです。父代わりになって妙子を見守ろうという善意だけがあるんですが、妙子からするとこれはちょっとしたありがた迷惑のようにも見えます。
 幸子の推測としては、妙子はお金持ちの奥畑啓坊と結婚したくないからこそ、洋裁師や人形作家になって手に職を付けて、奥畑から離れて生きる手段を得たいのでは、というように疑っているのでした。
 妙子はとにかく仕事をして生きたいので、その実力を付けるために洋行して修行をするつもりだったんですが、これが大戦の影響で中断となりました。
 それで本章では、幸子は妙子の恋愛事情について2人で話しあったのでした。そうすると、いままでの予想とかなり違う事態が明らかになります。奥畑啓坊は女遊びに身をやつしていて、妙子としてはもうこんな不倫男とは関わりたくないと考えていたのでした。災害時にも奥畑啓坊は服がほんのちょっと汚れるというのを嫌って、遭難していた妙子の安否も確認せずに、これを避けて通っていたのでした。
 妙子の結婚相手はどうも、不倫男の奥畑啓坊では無いなと、彼女たちは確信をしたのでした。
 そうなると生活が安定していない板倉と、どうも妙子は結婚するのかな、というように思う章でした。次回に続きます。
 

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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。『中巻三十五』は通し番号で『六十四』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)