今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その70を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
蛍狩りをしたあと、富豪とのお見合いが失敗に終わって、その帰郷のさなか、蛍籠になぜか蜘蛛が入り込んでいて、列車のなかで暴れだしてしまった。
この物語ではほとんど出てこなかった軍人が、列車の中でシューベルトのセレナーデを歌いはじめてしまうという奇妙な事態が起きます。さらに姉妹たちもこれに反応をして一緒に歌ってみたのですが、見知らぬ軍人は顔も見せないまま、列車を降りていったのでした。幸子としては、お見合いが破談になった雪子を放りだして帰郷するのはなんとも酷薄なので、蒲郡の常盤館で一泊をして、姉妹たちでのんびり観光することにしたのでした。この物語は関西の幸子を中心に物語が展開するのですが、今回だけは、雪子が東京に帰ってゆくところが描かれました。
雪子が一人で東京に帰っているときに、列車の中で、なにか見たことのある中年の男がこちらをじっと見つめてくる。よくよく考えると十年前の見合い相手だったことを思いだしたのでした。どうも相性が良くない相手だったので縁談を断ったというのを思いだして、あの時の自分の選択は正しかったなと、いうように考える雪子なのでした。次回に続きます。
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当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)