細雪(99)谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その99を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は、陰翳礼賛で日本の美を記した文豪が、嵐山の料亭での晩餐を描きだした場面がありました。
 この小説は、雪子が親戚のすすめによってお見合いを何度もやって、繰り返し破談になる、という展開なんです。駄目、駄目、駄目……と来てから、つぎにお見合い成立、となりそうな予感があります。ずいぶん良いお見合いが始まるんです。

※以下は物語の結末を含みます。クリックすると表示されます。

 雪子は縁談相手と一緒のところにいて「黙ってニコニコほほ笑んでいる」のです。「幸子は、この妹の眼が例になく興奮に輝いているのを看て取った」と書いていますので、これはもう、二者にはまったく破談の可能性は無いはずだと思います。雪子たち新婚夫婦が住むための、新しい家がどういうものなのかも、記載されていました。
 作中に明記された雪子の縁談相手は六人で間違いないです。最初からザッと読み直して、念入りに確認してみました。「細雪」の前半で「初めのうちは降る程あった縁談を、どれも物足りないような気がして断り断りしたものだから」ということが記されていますので、名前の書かれなかった縁談相手も、もっと居るので少なくとも9人以上と破談となっているのでした。この今までの悪い展開が急に変わるなんていうことがあるのか?と思ったのですが、どうも今度は上手く人生が進展するようなのでした。全体としては、駄目も目である、ということが記された物語でした。

  

縦書き文庫の装画

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
当サイトでは『細雪 中巻一』を通し番号で『細雪 三十』と記載しています。下巻の最終章は通し番号で『細雪 百一』と表記しています。
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。
  
■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)
 

追記  ※以下は物語の結末を含みます。クリックで表示されます。

 雪子の縁談相手である「御牧氏は同社の社長国嶋権蔵氏に大変可愛がられている」ということなんですが、この社長がついに嵯峨の嵐山まで訪れて、雪子たちの目の前に現れる、ということが書かれた章でした。
 九回以上は破談になった、ということは相手方の家にも伝わってしまっていますし、雪子の妹である妙子が自由恋愛でさんざんな醜聞を作りまくってしまったし妙子は古い恋人を捨て去って一人でバーテンダーの子を妊娠して、温泉街にある小屋にいったん住み込んで出産する寸前です。九回の破談と妹の醜聞。このことが雪子の縁談にもしかすると悪い影響を与えるのかもしれない、というのが終盤の展開です。御牧は、両家の明るい会談に、妹の妙子も呼びよせたいと言っていましたので、まだ妙子がバーテンダーの子を出産する寸前である事は知らないようです。「妙子のこともあるし、奥畑が又、ああは云っていても形勢次第で何を云い出すかも知れないような気がするので」「結納だけでも早く済ませたい」と書いていました。
 中盤から、貞之助が、大姉の鶴子一家(本家)にたいして、雪子の婚姻のことについて、手紙を出す場面がありました。
「三月二十三日に、貞之助は忙しいと云うので、彼女が雪子に附添って立った。そして、二十五日に結納を終え」たのでした。あ、今回でもう完全に、雪子篇は完結したんだな……と思いました。
「二十五日に結納を終え」というたったの十文字で、右往左往しつづけた雪子のお見合い篇はすべて終わり、なのでした。
 あとはドイツへ向かったシュトルツ夫人がどうなったのか、その手紙の顛末と、妙子と三好の二人の出産の問題なのでした。次回に続きます。

 
細雪はあと2回で完結です。このあと漱石の「虞美人草」を読みはじめたいと思います。