虞美人草(2)夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「虞美人草」その2を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 漱石の文学は、おもに若い男の苦悩を掘り下げて描きだすことが多く、女性は黙して動かない絵画のように記されてきたことが多いと思うのですが、こんかいは生きて動き、話しをして盛んに笑いますし、「清姫」のような美女の「藤尾」が描かれるのでした。妖女というのか神話的な女が、ほんとうに動いて話しているというような、荘厳な文体の作品に思います。
 漱石よりも少しだけ年上の同時代の画家に、グスタフ・クリムトが居るのですが、どうもこの神話的な絵画の女性がモチーフなのかもしれないとか、思いました。じっさいにはどうもサラ・ベルナールという女優も演じた「クレオパトラ」がモデルらしいです。
 こんかいはこの「藤尾」の悪魔的な美女の魅力が、壮麗な文体で描かれる章でした。甲野藤尾こうのふじおは、英語の本もしっかり読める、頭の良い女性なのです。環境が完全に整っているのになぜか結婚をしていないのが藤尾という美女なんです。藤尾が座布団のうえに忘れていってしまった金時計、というのがなんだか印象に残りました。
 作中の「安珍」というのは清姫に焼かれた男のことで、藤尾はこの清姫というのが好きなようです。
 漱石に描きだされ、大蛇に化ける清姫のごとき藤尾に言い寄られ、クリスマスツリーみたいに金色の鎖と金時計を飾りつけられて遊ばれて、なんだか呆然としている「小野さん」というのはこのあと大丈夫なんだろうか、というように思いました。
 

縦書き文庫の装画

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夏目漱石『夢十夜』を全文読む。   『草枕』を読む。