今日は、夏目漱石の「虞美人草」その3を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
宗近と甲野、2人の旅の様子が描かれます。
今回は、ぬか雨に濡れる古都が描きだされるところが、雅な描写でした。これが百年前の京都か、と思いました。
宿でのありさまが事細かに描きだされるのですが、この『虞美人草』は旅行をしながら読んだらじつに良い小説なのではというように思いました。どうも明治大正の日本文学は、旅をえがく力がすごいのでは、というように思いました。
作中の「ゴージアン・ノット」というのは「ゴルディアスの結び目」のことです。命じられたことに対する別のしかたの応答……ということを2人で論じていました。
「甲野さん」はこのような哲学的な文章を書きます。「すべての疑は身を捨てて始めて解決が出来る。ただどう身を捨てるかが問題である。死? 死とはあまりに無能である」「無絃の琴を聴いて始めて序破急の意義を悟る」
作中の「立ん坊」というのはこれは浮浪する男という意味です。現代でいうニートみたいな意味です。知力も状況も整ってはいても、教育業に深く関わるとか大手新聞社に就職するといったことはしない、漱石がとにかく重大視した、知的なニートというのか高等遊民の問題が今回も描きだされていました。
これはAI時代の現代にも通底しているテーマというように思いました。
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(総ページ数/約15頁 ロード時間/約3秒)
「虞美人草」の一から十九まで、全文を読む。(原稿用紙換算584枚)
夏目漱石『夢十夜』を全文読む。 『草枕』を読む。
追記 この小説の主要人物はいまのところ、男性陣は「小野さん 甲野さん 宗近君」の3人です。
いっぽうでヒロインは……
妖女のきわみである清姫のことが好きな「甲野藤尾」という美女。
それと真面目で家庭的な「糸公」という2名が記されていました。
※AIがまとめた要約はこちら。クリックで表示されます。
第三章 あらすじ(AIがまとめて、人間が書き直しました)
京都に雨が降っている。宿の二階では、考えすぎの甲野と、軽口が上手い宗近が、のんびりと旅を続けている。
宗近が「変な絵だな」と指さしたのは、金屏風に描かれた三本の筍。そこから始まった「謎」の話で、二人はアレクサンダー大王が刀で結び目を切った逸話にまで話を飛ばす。「切ってしまえばそれで済む」と言う宗近に、「都合だけで動くなんて卑怯だよ」と甲野が返す。どうでもいい話ほど、なぜか真剣になるのが彼らの関係だ。
甲野は寝転んだまま日記を書き出し、「この世のすべては謎だ。親も、妻も、そして自分自身さえも分からない」と綴る。謎を解くには相手と一心同体にならねばならない。死とはあまりに無能である、と冷めた目で書き留める。
宗近は隣家から聞こえる琴の音に夢中だ。弾いているのは「島田」という若い女で、宗近は湯上りにちらりと見たその姿を「なかなかの美しさだ」と熱く語る。だが甲野はそっけない。無理やり話をそらして、逆に宗近に「立ん坊だね」と笑われる。
ところがその一言が、場の空気を変える。宗近が家の話を出すと、甲野は「家なんてどうでもいい。俺は立ん坊で構わない」と言い放つ。宗近が「でもおばさん(甲野の継母)が困るよ」と口にした瞬間、甲野の心に鋭い影が差す。――この親友は、母の探りを入れに来たのか。それとも、ただの世話焼きか。口を閉ざし、何も言わない甲野。二人の間に、冷たい沈黙がおりる。
やがて話題は変わる。宗近が着ている手製のチョッキは、幼なじみの「糸公」が縫ったものだ。嫁に行ってしまうと困ると宗近がこぼせば、甲野に結婚の話が振られるが、彼は「経済的に無理だ」とそっけなくかわす。
そして、亡き父の遺品の話。ロンドン製の古い時計で、鎖には柘榴石がついている。子供の頃、異母妹の藤尾がいつも玩具にしていた品だ。宗近が「それをくれ」とねだると、甲野も「そう思っていた」と応じる。父が帰国したら卒業祝いにやると約束してくれた大切な品だが、今は藤尾の手の中かもしれない。それでも宗近は「欲しい」と言う。甲野はじっと宗近の眉間を見つめ、何かを考える。
昼食の膳が運ばれてくる。そこには、宗近が予言した通り、鱧の料理が並んでいた。


