虞美人草(6)夏目漱石

 今日は、夏目漱石の「虞美人草」その6を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 この小説は、甲野君と宗近という2人の男の会話劇が中心になっているんですが、こんかいはこの妹同士のお話でした。妖艶な甲野藤尾と、宗近糸子の2人がなんだかちぐはぐな会話を続けています。
 そこに、藤尾のことがどうも好きでしょうがない小野さんが入ってくる。
 藤尾は、京都の東山にある、霞につつまれた五重の塔のことを小野さんに問うてみる。「面白いんですよ。五重の塔が面白いのよ。ねえ小野さん」
 けれども、思ったような良い答えが返ってこないので「女王」のような藤尾はちょっと不機嫌になる。「小野さんは詩のために愛のために」藤尾がのぞむような答えかたをする。間に挟まれた「糸子は心細い気がした」のですが藤尾のほうは自分が聞きたいことを聞けてちょっと気分が良くなる。「ホホホホ」と藤尾は高く笑った。この2人の妹たちはどうもソリがあわなくて、「藤尾と糸子は六畳の座敷で五指と針の先との」諍いをしていて……なんだかどうしても心が通わない。
 学問のほうでは聡明な実績をつくりあげている小野さんは、どうもこの藤尾というあぶない女性に無闇に惹かれていて、愛されてみたく、ずいぶんふらついている、ようなのでした。
 次回に続きます。
 

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「虞美人草」の一から十九まで、全文を読む。(原稿用紙換算584枚)
夏目漱石『夢十夜』を全文読む。   『草枕』を読む。