細雪(24) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その24を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 鶴子と雪子が東京に引っ越して、寄せ書きの手紙を受け取った雪子は、お礼の手紙を関西へ送りました。
 物語はとりあえず、幸子の一家を描写するんです。ぼくは細雪と言えば、もうすぐ結婚しそうな雪子と妙子の物語なんだと思っていたんですが、どうも幸子の一家についてもいろいろ書くようなんです。幸子の娘である悦ちゃんの言葉づかいが乱暴なんですけど、谷崎の人間観察が冴える描写に思いました。
 猫を可愛がったり、潔癖すぎて消毒ばかりやらせていたり、という女の家族が記されてゆきます。
 こんかい、家族の中で健康をどうやって維持するのかというのでちょっと対立が起きているところが描かれます。物語のいちばんはじめにも、ビタミン注射していました。健康が損なわれそうな1940年代前後の、飢餓の時代の切実さが、この物語に健康論が立ち現れる原因では、と思いました。
 幸子の夫の貞之助が、仕事で東京に出張します。それで雪子たちの暮らしぶりをはじめてじっくり見てゆくことになりました。東京に行っても雪子はおしとやかで、家族の手伝いをして、子どもたちのめんどうを見ているのだそうです。大戦の終盤の時代に、谷崎は「細雪」の雪子という女性について書いていた。「郷愁」というのが、恵まれた家族たちのなかで生じているという描写でした……。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)