言語と道具 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「言語と道具」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 人類は、言葉と道具を両方使えるところに特別な特徴がある……言語はどのように生じたのかを論じた随筆です。
 動物でもじつはゴリラは、単純な言葉を持っていて、葉っぱや木の枝を道具にするし、ハチには図形を用いて情報を伝達する言葉があるし、巣作りをしてそれを道具にしているようにも思います。
 寺田寅彦は、普段まったく意識していない、原始的な言葉がどのように人類全体に行き渡っていったか、言葉の根本のところについて検討していました。なんだか計算機がまだほとんど存在しない時代に、チューリングが暗号解読のための計算機械をはじめて開発した、その方法はどういうものだったか、を連想させるようなエッセーでした。
  

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ゲーテ詩集(29)

 今日は「ゲーテ詩集」その29を配信します。縦書き表示で読めますよ。
 天真爛漫な少女はいにしえの魔法をつかい、彼を「楽しい愚行の小舟にいざなって」ゆくのですが、彼は「静かに自分の世界にかへつて行く」……。
 愚行の小舟、という生田春月の翻訳に、目を奪われました。
 

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五月のように 竹内浩三

 今日は、竹内浩三の「五月のように」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議な詩で、平易な言葉づかいのなかで二つだけ特殊な言葉を使っていました。作中の「ヴィヴェ・ジョアイユウ」というのはフランス語で”Vivez Joyeux.”と書いて「幸せに生きよう」あるいは……メリハリをつけて生きる、幸福に生きよ、歓喜して生きよ、という意味です。
終盤の「愉快に生きよう」という詩の言葉が印象に残りました。
 

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追記   最近ずっと室内で暮らしていて近くにいろんなお店があるので、夏も冬も困らなくなってしまっているんですが……「青空のように/五月のように/みんなが
みんなで/愉快に生きよう」という、この詩の言葉は、農に生きる人か野外で働く人でしかその意味内容を感じられないのかもしれない、と思いました。5月は厳冬が完全に遠ざかっていて、なにをするのも気持ちのよい季節なんだと思うんですけど、5という数字だけからそれを連想することができず、3回読んでやっと5の意味が分かりました。

断食芸人フランツ・カフカ

 今日は、フランツ・カフカの「断食芸人」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 あの「変身」を描いたカフカが、断食する男のことを書いていて、なんだか引き込まれました。ちょっと調べてみると、人間の場合は5日間くらいずっと水を飲まないと非常に危険で死んでしまうそうですが、液体を飲んで良い断食というとかなり安定して長期的に暮らせるそうです。そういえば、砂漠に生きる現代人はそもそも、ミルクとチーズだけでずっと生きている人たちがほんとに居るわけですし、固形物を大量に食べる必要はあんまり無いのでは、と思ったことがあります。長寿の秘訣には、豚肉の野菜炒めを日常的に食べるのがいちばんだ、というのも聞いたことがあるんですけど。
アンガス・バルビエーリという奇妙なスコットランド人のことを連想しました。
 

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(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 
wikipediaには断食に関する記載でこう記していました。
quomark03 - 断食芸人フランツ・カフカ
  ギネスの職員によれば、「安全でない」行動が奨励されることへの懸念から、ギネスは断食に関する記録を受け入れるのを止めたという。quomark end - 断食芸人フランツ・カフカ
 
 カフカには、近現代人の意識の変容のありさまを上手く予測する能力があって、それで創作に説得力があってみごとなんだろうと思います。
 終盤で、豹が突然現れるのが、不思議な隠喩の効果をもたらしているように、思われました。

 

細雪(8) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その8を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 今回は、幸子の娘の、悦ちゃんが遊んだり勉強したりしている場面がありました。
 作中で悦ちゃんがなにげなくこう言うんです。
「見たらいかんよ」
 自分の勉強のノートがまだ未完成なので完成前に見られるのが恥ずかしい、というだけのことでたいしたことを言ってないんですけど、妙に印象に残りました。
「隣家、と云うよりは背中合せの庭つづきになっている家に、半年ほど前からシュトルツと云うドイツ人の一家が移って来て住んでいた。」そこで子ども同士で仲良くなった。犬や兎を飼っていたり、のどかな描写でした。戦争開始前には、イギリス人やアメリカ人も日本に住んでいたんだろうなあと思いました。
 

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「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

『劉生画集及芸術観』について 和辻哲郎

 今日は、和辻哲郎の「劉生画集及芸術観について」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ふつう思想家は他人を褒めずに、批判的に問題点を指摘するもんだと思っていたんですが、今回の哲学者和辻哲郎は、岸田劉生の画業を絶賛しています。日本語に聡い学者が、何かを褒めるとこんなにすごい文章になるのかと、本文と関係の無いところで楽しんで読んでしまったんですけど、和辻氏は、岸田劉生の論文についても検討し、これを論じています。
「享楽的浮浪人としての画家、道義的価値に無関心な官能の使徒としての画家」とは異なる、人々の生に奉仕する思想と画業とが、岸田劉生にはある、というところから記し「人類の内に生き人類の意志を意志とする」芸術の精神について語り、「芸術家のための芸術」とは異なる「美のための美を」つくる芸術について説き、岸田劉生の考える「内なる美」「装飾」「写実」について解説していました。
 とくに、ドストエフスキーや『イリアス』や岸田作品に通底している「内なる美」ということを論じた箇所が、興味深かったです。

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