断崖の錯覚 太宰治

 今日は、太宰治の「断崖の錯覚」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 太宰治の別名義のペンネームで有名なものは「辻島衆二」というごく若い十代の頃につかっていたものがあるのですが、その他にも、辻魔首氏、小菅銀吉、大藤熊太、というのがあります。今回は、黒木舜平という作家名で推理小説を書いた、太宰治にしては珍しい作品なんです。叙述トリックのある推理小説では無いのですが、犯罪心理や罪の告白というのがあって、これはみごとに太宰治の作品だ、と思いました。
 

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追記
太宰治という筆名をはじめて使って発表した小説は「列車」という作品で24歳の頃のものだそうです。

姦 久生十蘭

 今日は、久生十蘭ひさお じゅうらんの「かしまし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは1950年あたりの日本の出来事を記した短編小説で、亡くなった、ということにして町を去ったはずの女が、なぜだかどうも生きて帰ってきている。女たちが電話で長話をしているのですけれども、ずいぶん面白いことを言っている。この物語の数年前の当時は、戸籍もあいまいだったし、生死の記録もあいまいだったようです。かしましい女たちの、虚実いりまじった話しがすごい迫力で、後半の起承転転転結という感じの展開がみごとでした。
 

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鬼 織田作之助

 今日は、織田作之助の「鬼」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 戦時中で貯金も底をついて、喰うのもままならない、いかにも鬼が立ち現れてきそうな、そういう時代にいったいどのような鬼が出てくるのか、と思ったら、娯楽も言論もほとんど封じられてしまったころに、小説を書く仕事をしている男が居る。これがほんとに仕事の鬼で……オチの一言もすごい。鬼、という言葉を改めて辞書で調べてみると、知らなかった歴史のこともいくつか書いていました。

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夕靄の中 山本周五郎

 今日は、山本周五郎の「夕靄の中」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 山本周五郎の時代劇をほとんど買ったことが無かったのですが、読んでみるとやはりすごいものでした。いかにも暗いことの起きそうなところに、意外な展開があって、多くの人々を魅了してきたのも頷けると思いました。人情と非人情の均衡、この配分がみごとに思いました。
 ほんの僅かの時間しか関わりを持たなかった人が、人生の転換に於いて深い影響を及ぼす……それも偶然の事故が多い世の中であるのにもかかわらず、幸運にもものごとが上手く展開する。禍を転じて福となすというのか、諍い果てての契りとでもいうのか。
 序盤と終盤に現れてくる夕靄のイメージが印象深かったです。日本をこのように美しく描くのか、と思いました。
    

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ペルゴレーズ街の殺人事件 モーリス・ルヴェル

 今日は、モーリス・ルヴェルの「ペルゴレーズ街の殺人事件」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ちょっとドストエフスキーの「白痴」第一章に似た、夜汽車の描写なんです。列車の中で重大なことがほとんどすべて起きてしまっている。漱石の「三四郎」でも列車の中がなんだか印象的です。列車はただ移動するだけのモノのように見えて、目的地に向かっている時に、すでに物語がおおきく動いている……。どこかに辿りつく過程がなんだか物語の中心になっている。
 

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年末の一日 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「年末の一日」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ただの日記か随筆かなにかのようにはじまるこの私小説的な作品なのですけれども、友人に墓参りの案内をはじめたところあたりから、この小さな物語に引き込まれました。最後は芥川の『トロッコ』の少年のような表現になっている。芥川龍之介は、漱石から直接激励の手紙をもらったことがあって……この掌編はそういった現実の経験を、文学に昇華するその過程が垣間見られる、随筆と物語との中間地点の作品のように思いました。
 

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