去年の木 新美南吉

 今日は、新美南吉の「去年の木」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは絵本のためのものがたりとしてつくられた新美南吉の童話で、おすすめの作品です。小鳥は巣を作るのでも、海を渡るのでも、ひたむきなんだなと思いました。
  

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追記  新美南吉の物語は、読後に謎の残る作品が多いと思うんですけど、これを読むと他の作品の意味内容が見えてくるように思いました。新美南吉やカフカや紫式部の作品を読んで「謎だなあ」と思ったぶぶんの、その謎の正体を探るための手がかりをくれるような童話に思いました。

おねずみおばさんのはなし ベアトリクス・ポッター

 今日は、ベアトリクス・ポッターの「おねずみおばさんのはなし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは幼子が読むための童話で、大人といっしょに読む絵本なんだと思うんですけれども、大人になってから読んでみると、ベアトリクスポッターという作者の雰囲気と、ねずみらしいねずみの世界観が、ちょうど50対50くらいの半分ずつ入り混じっていて、そこが魅力になっているように思いました。うまいキャラクター造型で、すてきな童話に思いました。
 愛らしい性格なんですけれども、けっこう近くにいたら困ってしまうようなおせっかいなおばさんでもあるんです。
 このねずみのおばさんが、めいわくな隣人をはんぶんだけ受け入れるところが、みごとな対応に思いました。
  

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ペンギン鳥の歌 原民喜

 今日は、原民喜の「ペンギン鳥の歌」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはむかし、原民喜は活動の初期に、小川未明や賢治のような童話作家だったんだと思いこんでいたんです。ところが調べてみると『焔』という不思議な詩小説集を書いていて、これが平和なころに作った本の代表作なんです。ぼくはどうも、敗戦後に原民喜はガリバー旅行記を翻訳したんだという事実がもっとも印象深くて、それで原民喜はそもそも童話作家なんだと思いこんでいました。今回の「ペンギン鳥の歌」は戦前の創作が見えてくる、児童が読むための詩でした。明るい詩です。
  

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旅の仲間 アンデルセン

 今日は、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの「旅の仲間」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ヨハンネスは父を亡くし天涯孤独になってしまうのですが、新たに生きるため旅をはじめる、という童話でした。父親からもらったお金は、貧しい人にあげてしまう。以下の箇所が印象に残りました。本文こうです。
quomark03 - 旅の仲間 アンデルセン
  お墓には、きれいに砂がもってあって、そのうえ、花まで飾ってあるではありませんか。これは、よその人たちが、しておいてくれたのです。というのは、死んだおとうさんは、みんなにたいそう好かれていたからでした。quomark end - 旅の仲間 アンデルセン
 
 良いことをした人のゆく天国、というはなしが序盤に描きだされてゆきます。これは……幸福に生きつづけて晩期を迎え、その良い生き方の印象と影響は、死後であってもはっきりと残りつづける、ということでもあるんだなあと、思いながら読みました。物語には、なんだが偶然のように「旅の仲間」とめぐりあって2人で旅をして、不思議なお姫さまと、死んでいったフィアンセ候補たちが記されてゆきます。お姫さまが今どんなことを考えているかを、3回も言いあてなければ、魔女の命令で倒されてしまう、というルールなんです。お姫さまは悪い魔女に洗脳されているんです。心やさしいヨハンネスは、お姫さまの美しさを信じようとします。けれども背後には死を司る魔女がいます。本文とは無関係なんですが、かの極北の帝王の娘が小さな幸福をつかむには、アンデルセンのこの物語のような危険な賭けを経て、人間的になるしかないのだろうと、思いました。ただの脇役のように見えた「旅の仲間」という男が、秘密裡に、さかんに活躍します。
 いやー、これはすさまじい、とうなるような幻想小説の描写もあります。最後の最後に、ある人物の正体が記されます。みごとに劇的な童話でした。
 

0000 - 旅の仲間 アンデルセン

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牛女 小川未明

 今日は、小川未明の「牛女」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 山と母が、印象的に描きだされる、美しい童話でした。
quomark03 - 牛女 小川未明
 子供こどもは、母親ははおやこいしくなると、むらはずれにって、かなたのやまました。すると、天気てんきのいいれたには、いつでも母親ははおやくろ姿すがたをありありとることができたのです。ちょうど母親ははおやは、だまって、じっとこちらをつめて、うえ見守みまもっているようにおもわれたのでありました。quomark end - 牛女 小川未明
 

0000 - 牛女 小川未明

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 菅原道真を祀る、ということでもそうだと思うのですが、日本では、よき人であるのに不憫な事態に陥ってしまったことについて、空想を交えながらくりかえし丁寧に描くことがあるんだと思いました。

青い時計台 小川未明

 今日は、小川未明の「青い時計台」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 晩方になるととなり町のほうから美しい音色が聞こえてくる。それでさよこはその街を探してみようと一人で草原をゆくのでした。星の街とでもいうようなふしぎな街がたちあらわれます。
 そのすてきな音色は、ある家の中から生じているのでした。少女はその家の中を、窓辺からじっと見つめます。
 良い音色をもらす家の中では幸福な父親と娘たちの時間が流れている。少女は自宅に帰ってからも、その音色に導かれるようにして、ときおりその家のようすをのぞき込むのでした。やがて父が老衰し、娘たちは成長して新しい人びとを招きいれる、それから……終盤もみごとな、小学生のための童話でした。大人も読める童話だと、思いました。
    

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