疑問と空想 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「疑問と空想」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 鳥が飛行中に鳴くのは、音波で周囲の物体を探知して、ソナーとして自分の鳴き声を使っているかもしれない、と寺田寅彦が述べています。
「飛びながらおりおり鳴くのも、単に友を呼びかわしまた互いに警告し合うばかりでなくあるいはその反響によって地上の高さを瀬踏みするためにいくぶんか役立つのではないかと思われる」
 一般的に、鳥の鳴き声は、求愛か、警告か、単純な会話かだと思うんですが、これ以外に、ソナーとして使っているかもしれない。
 ちょっと調べてみると、科学的には、コウモリは超音波を発してソナー代わりとし、物体を検知しているそうです。
 

0000 - 疑問と空想 寺田寅彦

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 
追記  そういえば猟犬が獲物を追いつめるときに盛んに鳴くのは、明らかにソナー代わりとして、自分の位置と相手の位置を分かりやすくしているんだなあと、思いました。啼かない猟犬は、味方に誤射されてしまいそうですし。
 

春 長谷川時雨

 今日は、長谷川時雨の「春」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日常にある小さな世界を描いただけの随筆のはずなんですが、みごとな詩心の表出する幾つかの小品でした。
quomark03 - 春 長谷川時雨
 春の來た今朝けさは、誰もが陽氣だ。おしやべりは小禽ことりばかりではない。臺所の水道もザアザア音をたて、猫はしきりにおしやれをしてゐる。quomark end - 春 長谷川時雨
  

0000 - 春 長谷川時雨

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 
追記  美について論じた随筆もみごとでした。

浅草むかしばなし 永井荷風

 今日は、永井荷風の「浅草むかしばなし」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  永井荷風が戦中と戦後の浅草の風俗史について記しています。浅草とアメリカの奇妙な関係性のこともちょっと記されていました。浅草公園に日本パノラマ館というのがあって、そこで米国の歴史館をつくって興行をやっていたそうです。浅草ロック座は戦後すぐに作られたんですけど、これも永井荷風が深く関わっていて、いつもここに居たんだそうです。
 戦争が終わってから米国文化が日本に入って行ったと言うよりも、戦争が始まるちょっと前に海外文化がいろいろ日本に入ってきていたようです。
 それから西洋のオペラを模したオペラ館というのもあってここで永井荷風の『葛飾情話』という公演が行われたんです。
 

0000 - 浅草むかしばなし 永井荷風

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

梅雨紀行 若山牧水

 今日は、若山牧水の「梅雨紀行」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 若山牧水の描く、浜名湖から奥三河への紀行を読んでみました。芭蕉や一茶など、日本文学は旅をさまざまに描いてきたと思うんです。漱石も「草枕」で旅の描写をじっくり描いていました。
 「梅雨紀行」を読んでゆくと、はじめは気晴らしにちょっと旅をしてきてはどうかと妻にすすめられて、無計画に家を出た主人公が描写され、中盤で偶然のように立ち寄った、病に臥す友を見舞うんです。ところがその友との友情とか、友の病についてはほんとに幽かにしか記されておらず淡交であって、とくに気にかけている様子も見受けられない。いつか一緒にすてきなところを旅しようと、約束しあったりしている。
 オチのところではもう、たんなる風景であったはずの鳳來寺の山に感情移入して、山に問いかけている。不思議な随筆でした。
 

0000 - 梅雨紀行 若山牧水

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)
 

細雪(24) 谷崎潤一郎

 今日は、谷崎潤一郎の「細雪」その24を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 鶴子と雪子が東京に引っ越して、寄せ書きの手紙を受け取った雪子は、お礼の手紙を関西へ送りました。
 物語はとりあえず、幸子の一家を描写するんです。ぼくは細雪と言えば、もうすぐ結婚しそうな雪子と妙子の物語なんだと思っていたんですが、どうも幸子の一家についてもいろいろ書くようなんです。幸子の娘である悦ちゃんの言葉づかいが乱暴なんですけど、谷崎の人間観察が冴える描写に思いました。
 猫を可愛がったり、潔癖すぎて消毒ばかりやらせていたり、という女の家族が記されてゆきます。
 こんかい、家族の中で健康をどうやって維持するのかというのでちょっと対立が起きているところが描かれます。物語のいちばんはじめにも、ビタミン注射していました。健康が損なわれそうな1940年代前後の、飢餓の時代の切実さが、この物語に健康論が立ち現れる原因では、と思いました。
 幸子の夫の貞之助が、仕事で東京に出張します。それで雪子たちの暮らしぶりをはじめてじっくり見てゆくことになりました。東京に行っても雪子はおしとやかで、家族の手伝いをして、子どもたちのめんどうを見ているのだそうです。大戦の終盤の時代に、谷崎は「細雪」の雪子という女性について書いていた。「郷愁」というのが、恵まれた家族たちのなかで生じているという描写でした……。
 

0000 - 細雪(24) 谷崎潤一郎

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約20頁 ロード時間/約3秒)
 
「細雪」の上中下巻、全巻を読む。(原稿用紙換算1683枚)
谷崎潤一郎『卍』を全文読む。 『陰翳礼賛』を読む。

■登場人物
蒔岡4姉妹 鶴子(長女)・幸子(娘は悦ちゃん)・雪子(きやんちゃん)・妙子(こいさん)

私の日常道徳 菊池寛

 今日は、菊池寛の「私の日常道徳」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 文芸と商売を両立させた……いちばんはじめの近代作家は菊池寛だと思うんですが、そのお金持ちの菊池寛が、人づきあいやお金のことを訓示っぽく書いていて、なんだかすてきな随筆でした。
quomark03 - 私の日常道徳 菊池寛
 貴君のことを誰が、こうこう言ったといって告げ口する場合、私は大抵聞き流す。人は、陰では誰の悪口でも言うし、悪口を言いながら、心では尊敬している場合もあり、その人の言った悪口だけがこちらへ伝えられてそれと同時に言った賞め言葉の伝えられない場合だって、非常に多いのだから。quomark end - 私の日常道徳 菊池寛
 
 なにかの不備については自分で発見したほうが上手くゆくわけで……不備を指摘をする必要はないという話しや、お金に関することや、他にも勉強になることがいろいろ書いてありました。
 

0000 - 私の日常道徳 菊池寛

装画をクリックするか、ここから全文を読む。 (使い方はこちら) (無料オーディオブックの解説)
(総ページ数/約10頁 ロード時間/約3秒)