生活から学ぶ 岸田國士

 今日は、岸田國士の「生活から学ぶ」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは半ページにも満たない、ごく短いエッセーです。失念しがちな基本的なことを、近代作家が書いていることがあって、そこもいちおう古い本を読むときの魅力なのでは、と思いました。
   

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追記  岸田國士氏は、譲れる席は譲る、ということを説いています。本文とほんとにまったく関係が無いんですが、立って作業するスタンディングデスクを使った有名人は、なんだか多いんです。ダヴィンチとかディケンズとか、ヘミングウェイが立ち机を使っていました。

美 高村光太郎

 今日は、高村光太郎の「美」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これはごく一頁の美術論なんですが、なんだかすごいことが書いてありました。言葉を使わずになにかの価値を生じさせる芸術活動を、言葉でも同定してみる……というのは言葉にならないことを言葉にしようとするのに近いわけで、詩文学を哲学的に論じているような、むずかしい試みに思いました。
 高村光太郎が指摘しているように、科学理論のほとんどは仮説であって近い未来に覆されることが多いです。いっぽうで古典数学や数式はいちど正しいと確定すると、次の時代にも滅びないし、半永久的に滅びないです。では美についてはどういうものなのか。高村光太郎はこう述べるんです。「美は次々とうつりかわりながら、その前の美が死なない」
 

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追記   美しいと思って買ってみた服、の場合は、ほんの数ヶ月ほどで美が色褪せてしまって、自分の美の感覚がどうも変だったことに気が付く、というのは誰にでもあると思うんですが、高村光太郎は、一時的で不安定な美のことを美と呼ばないんだろうなあと、思いました……。
 

苦楽 上村松園

 今日は、上村松園の「苦楽」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日本画家の上村松園が、創作をするときの労苦と喜びについて記しています。「絵を作る時の作家の心境について私はこう考えています」というところから記される随筆です。後半で、単なる趣味のことを書いているんです。これと本業の創作との共通項を述べているところが、創作の意味あいを理解する手がかりになるように思いました。いったん子供時代のことを思いだしつつ、難事にはげむと方向性を見誤りにくいのでは、と思いました。
  

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追記   上村松園は、絵を描くということは、必ず苦を伴うと言うんです。けれども、楽しさもあるのだと記します。

婦人の笑顔 島崎藤村

 今日は、島崎藤村の「婦人の笑顔」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 日本の文学というと、紫式部と清少納言の存在が大きく、「ひらがな」を使って文学を書きはじめたのも女性で、さいしょから文学は女性が中心になって創られてきた、というように思うんですけど、近代文学では男の作家だらけなんです。島崎藤村は日本文化の女性性に造詣が深い作家だと思うんですが、こんかいは古人の記した「おふく」という女性についてごく短い随筆を書いています。
quomark03 - 婦人の笑顔 島崎藤村
  中世以来、続きに続いた婦人の世界の暗さを思へば、「笑」を失つたものが多からうと思はれる中で、あれは光つた笑顔に相違ない。quomark end - 婦人の笑顔 島崎藤村
 
 という指摘が印象に残りました。紫式部の描きだした「末摘花」を連想させるエッセーでした。最後の一文が、謎めいていてすてきでした。
 

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(追記  数日間ほど離席していました……更新がちょっとだけ滞っております。ご了承ください。)

夕暮の窓より 小川未明

 今日は、小川未明の「夕暮の窓より」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 海外の哲学者は詩をあまたに書く、と聞いた時に、近現代の日本文化に、そういうものがあるんだろうかと思って驚いたんです。
 今回の小川未明は、いつもの童話とはちがって、散文詩と思索の入り混じったようなものを書いていて、なんだかすてきでした。
quomark03 - 夕暮の窓より 小川未明
 私は、時間といい、また空間という、仮定された思想のために多くの人々が、生活を誤謬の淵底に導きつゝあることを知った。此世に時間というものはない。此の世に空間と名づけられた形あるものもない。ただ、それが観念に過ぎぬと知った時に自分等の生活は、時間と空間の中に営まれているべきものとは思われない。quomark end - 夕暮の窓より 小川未明
 

0000 - 夕暮の窓より 小川未明

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追記  小川未明の童話の中に時折、賢治の描いた石炭袋のような不思議な気配が生じていることがあると思うのですが、それを小川未明が書いた事由が、本稿の終盤に記されていると思いました。

麻雀インチキ物語 海野十三

 今日は、海野十三の「麻雀インチキ物語」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 海野十三が、麻雀のイカサマについてことこまかに記しています。「物語」と書いているんですが、イカサマ技の数々を羅列していることが主体のエッセーです。現代では出来ない技も多数あるように思います。
 麻雀のイカサマ技というと、手品師レベルに上手い人が、手配と山の配をすり替えるのが、もっとも見破りにくいのかと思うんですが、もっと初歩的なもので、アガリに見せかけて配がそろってないまま勝利宣言をしてしまう、というのがまずあるそうです。
 場が荒れている状況では、自分の盤面を見るだけではなく、対戦相手の動向をじっくり見なければ、という指摘がありました。
 ギャンブラーの最上級者は、ぼくはカジノに現れる数学者だと思うんです。ルールをすべて守って、暗記や確率論を使って、ほぼ必勝のギャンブルをするそうです。カジノ側は不正をしていない人であっても、勝ち続ける数学者を出入り禁止にする権利があるそうです。
 

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