研究的態度の養成 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「研究的態度の養成」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 児童が研究心を持つにはどうすればいいのか、という話しを物理学者の寺田寅彦が論考しています。まず氏は「最も必要なことは児童に盛んに質問させることである」と述べます。本文こうです。
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  とにかく児童には、知らないことが恥でない、疑いを起さないこと、またこれを起しても考えなかったり調べなかったりすることが大なる恥である、わるいことであるといった精神を充分鼓吹こすいしてほしいと思う。quomark end - 研究的態度の養成 寺田寅彦

 寺田寅彦が「いろいろ六ヶしい」という不思議な漢字を使っていて、六ヶ所村核燃料再処理事業反対運動のことを連想しました……。本文とまったく関係がないんですが、六といえば、六道の辻というのを思い出します。六道。
 尋問みたいな詰問ではなく、問いかける、というのでは、現代の図書館で質問をする人たちの記録というのがあって「レファレンス協同データベース」というのがぼくは好きで、たまにこの問いの記録を読んでいます。図書館にどういう疑問を持ってやってくる人が居るのか、そのようすをちょっと垣間見られるんです。
 

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花咲ける石 坂口安吾

 今日は、坂口安吾の「花咲ける石」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  群馬の藤原にあった村々が、ダムの底に消えていったのですけれども、その村で栄えた剣術について坂口安吾が描いています。白土三平はいったいなんの文化を元に大長編のドラマツルギーを構築していったんだろうかと、子どもの頃その原典とした本を知りたかったんですけれども、どうも坂口安吾の作品から若い頃に学んだんじゃなかろうかと、空想をしました。
 みなそこに沈んだ村では、かつて関所破りの賊が村人を襲った、これを撃退し自存自営するために剣技が栄えた。はなしは宮本武蔵にまで及びます。房吉の剣術と侠気が語られてゆき、おもしろかったです。主人公の房吉というのは須田房之助のことです。
 

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自伝 黒島傳治

 今日は、黒島傳治の「自伝」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは黒島傳治の出自について当人が書いている、ごく短い随筆です。農業と漁業をやっていた家で育っていった。近代の戦争の状況も描いています。
「大正八年に兵隊にとられ、それからシベリアへやられた。そこで病気にかゝって、大正十一年四月内地へ帰り、七月除隊になった。」と記しています。こののち二十五年間の、帝国日本軍の兵站に於ける問題についてすこし調べてみました。wikipediaによると大戦中には世界的に飢饉も深刻だったという記録がいろいろありました。

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古江 高濱虚子

 今日は、高濱虚子の「古江」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 水売舟というのは、水を売っている船だそうで、日本でも飲料水を売る仕事というのがあったそうです。
 どこのはなしなのかというと、どうも長良川の河口の長島のはなしのようで、この小さな小島はあたかもヴェネチアのような、日本の水上都市だったようです。
 金だらいをつかって、川辺で洗濯をしている風景。当時の女の仕事を、高浜虚子が記しています。
 舟がてきとうに放置されている、下駄を脱ぎ捨てたかのように、置かれている。そういう風景画でした。

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旅からのはがき 水野葉舟

 今日は、水野葉舟の「旅からのはがき」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 花巻から遠野にむけて一人旅をしている、そこから出される手紙について、水野葉舟が記しています。遠野の奥地にいって、ちょっと方言が色濃すぎて言葉が聞きとれない……。水野葉舟は、柳田国男とも縁のある、怪談で有名な近代作家です。

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温泉 梶井基次郎

 今日は、梶井基次郎の「温泉」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 梶井基次郎以外に、いろんな近代文学を読んでみたのですけれども、梶井基次郎の描写はほかと比べものにならないくらい、細部までじっくり書きあげていて、とても空想で書いたものに思えないんです。動画で撮ってもここまで環境や人工物や人の流れ、それからそれぞれの内情まで書けないわけで、梶井基次郎の描写はそれらを越えて詳細なんです。
 じつは行ったことがない架空の場所であってもおそらく梶井基次郎はここまで描けてしまうんだろうと思う箇所があるんです。「これはすばらしい銅板画のモテイイフである」と記している。風景の描写に混ぜるように空想も記している。おそらくこれは梶井が1年半ほど療養のために暮らした伊豆の「湯ヶ島」での実体験を元にした紀行文だとは思うんですけれども、あるいは銅版画を見てその風景の奥に聳える暗闇まで描けるのが、梶井基次郎だろうと思いました。
 車窓から旅先の田園風景を一瞬かいま見ても、その地を知ったことにはならないわけで、ちょうどその対極にいるのが梶井基次郎のように思いました。梶井は見知らぬ村の家々の暮らしまで描きだしているのがすごいなと思いました。
 崖を見て、その数十年前の豪雨やのちの水害について思いを馳せている。いまの風景を描写するだけでは無くって、数年前の風景まで見ていて、見えているものがぜんぜんちがうんだなあ……と思いました。耕作のために泥まみれになった馬が、農民に導かれ温泉の湯で洗われてきれいな姿になっている。川烏や懸巣の描写が美しい、すてきな随筆でした。
 

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