乾あんず 片山廣子

 今日は、片山廣子の「ほしあんず」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
  ぼくは三年くらい、河原の植物を毎日ながめている機会があったのですが、管理されてない川辺の領域に、いろんな植物が勝手に育ってゆくのを見たんです。治水工事や増水がくるとそれらは一変するのですが、それが来るまでは野方図に草が広がっていって見飽きないんです。管理と無方の境界のところがおもしろいように思います。
 手入れのゆきとどいたフランス式庭園ではなくって、雑草を中心にして、植物同士で自然に繁ってゆく、そういう芝庭の美しさ、それから西欧のむかしばなしと夢想を、片山廣子が書いています。
 

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神田を散歩して 寺田寅彦

 今日は、寺田寅彦の「神田を散歩して」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは不思議なエッセーで、寺田寅彦が二十数年のちの未来に撤去されることになる広瀬中佐の銅像を見上げたときの、奇妙な感覚について語っているんです。広瀬中佐の銅像についてはGoogleで検索してみるとけっこうおもしろいんですよ。なぜこれを建てたんだ? とも思いますし、じっさい日本各地にまだ中佐の像が残ってたりもするんですよ。じっさいにこの像を見に行ってみたら、途方にくれつつカメラにおさめる気がする……とか思いました。日本の奇妙さについて、寺田寅彦が論じています。 
 ちょっとジョージオーウェルの小説「1984」のような奇妙な都市空間を連想しました。寺田寅彦が語っている内容を、検索しつつ読みすすめてみたのですが、今読んでも現代的な問題を取り扱っていて、みごとな随筆に思いました。
 

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本の事 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「本の事」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 夢の中で見た本のはなしが不思議なものでした。存在しない本について評論したスタニスワフ・レムの小説のことを思いだしました。

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瀬戸内の小魚たち 壺井栄

 今日は、壺井栄の「瀬戸内の小魚たち」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 ぼくはこの読書サイトで、おもに戦中と戦後数年間の作品を読んでいるのですけれども、これはそれとかなり異なっていて、もうずいぶん平和の時代が続いているもので、魚を食べる暮らしのことが描かれているんです。ちょっと調べてみると、このころから日本四大公害病が始まりつつあるんです。本文と公害はまるで関係が無いのですが、こういう時代にこういう平和が愛されていたのかと、読んでいて感慨深かったです。
  

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二筋の血 石川啄木

 今日は、石川啄木の「二筋の血」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 勉強ができずに泣いてばかりいた幼いころの石川啄木の思い出が記されます。
 学ぶことの楽しさを教えてくれた、藤野さんという幼年期の友だちがいて……これはほんとうにあったことなんだろうなあ、と思いました。美しい子供時代の描写に思いました。
 後半で記される二人の死について考えたこと、貧しい老婆の話、それから幼い友を悼む描写に、平熱の文学とは異なる感動がありました。そのあとにこの初版本の編者が記す〔生前未発表〕という記載に衝撃を受けました。子どもたちに読ませるために書かれたような、やさしい童話のような文体でありながら、生前の啄木はこれを発表しないことに決めていた。原稿を封印した理由はなんだろう、啄木にとって文学はどういう意味を持っていたのだろうか、と思いました。
  

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水の三日 芥川龍之介

 今日は、芥川龍之介の「水の三日」を配信します。縦書き表示で、全文読めますよ。
 これは若いころの芥川龍之介の随筆で明治四十三年の罹災生活の三日間のことを記しています。
 芥川龍之介は効率最優先という世界からかけ離れたことを書くんです。なんでも手作業でやるよりほかない、芥川龍之介とその同級生たちは、罹災民のお手伝いをしていて、手紙の代筆をせっせとやっていっている。大水で生き残った人たちには怪我がなく、家は失われても取り乱さずに避難生活を送っている様子が描かれます。芥川龍之介の記す、避難所の細部の描写が印象に残りました。
   

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